日本酒はいかが？超入門朝日ファミリーデジタル

　今年は日本酒に親しんでみませんか。アルコールは好きだけど日本酒にはなじみが薄い……という人に、改めて日本酒の魅力と、おいしく楽しむコツを、神戸酒心館支配人・ソムリエの湊本雅和さんに教えてもらいました。気軽に日本酒が味わえる「蔵開き」情報も添えて、お届けします。（扇田京子）

日本人の特性に合う

　米と水から造る日本酒。最近は少し事情が違うものの、長らく日本でしか造られてこなかった、世界中で他にあまり例のない酒です。
　味は穏やかで強烈な個性がなく、基本的には料理と一緒に味わう食中酒ですから、どんな種類を選んでも料理の味とけんかしない“聞き上手”。日本人の特質に似ていると思いませんか。それでいて奥深く、複雑な飲み物。音楽と同じで、詳しく知らなくても楽しめ、深く知ればそれぞれにストーリーがあってさらに魅力が増してくる。それが日本酒だと思います。輸送料などがかかる洋酒や輸入ワインに比べて、コストパフォーマンスも優れています。

基本は人との相性

　日本酒の好みは、「好きかどうか」に尽きます。飲み物と人との相性が良かったら、何を食べてもおいしいのです。こんな料理にはこんな種類の酒を――ということは確かにありますが、最初から難しく考える必要はありません。五感のうち、味覚は唯一口に入れて体の一部になるため、本能的に最も警戒する保守的な感覚です。なかなか変わるものではありません。ですから、音楽に親しむのと全く同じ。まずは広く浅く、いろいろ試して、好みの味に出会ってください。蔵開きや、試飲・利き酒のできるイベント、ショットで飲める居酒屋などへ出かけるのもおすすめです。もし、好みの酒が見つかったら、ラベルを写真に撮って日本酒に詳しい居酒屋や酒店で見せれば、同じものがなくても同じ系統の味の銘柄を探してくれます。
　日本酒はいまが過去最高においしい時代です。情報や技術革新で工夫が進み、より洗練されています。女性を中心に日本酒ブームなのも、女性はおいしいもの、楽しいことに敏感だからでしょう。古いイメージでとらえて敬遠している方も、一度様々なものを味わってみてください。日本酒は、みんなが楽しいひとときを過ごしたり、人生の一瞬をよりよくする一つのツールになりえると信じています。

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　阪神・西摂地区は古くから酒造りが盛んな地域。日本酒造りが最盛期を迎える秋から今の時期にかけて、蔵開きなどのイベントのほか、兵庫県酒造組合連合会が2月に在日外国人対象の「“SAKE” WORLD PARTY in HYOGO」を開くなど、近年の日本酒ブームに合わせ、内外に日本酒の魅力を発信する動きも活発だ。